コーヒーブレイク
エコノミークラス症候群
寺田 秀夫
1,2
1聖路加国際病院内科
2昭和大学内科
pp.1516
発行日 1999年11月15日
Published Date 1999/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904256
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先日,朝日新聞の片隅に次のような記事が載っていた.約10時間のヨーロッパ旅行を終え関西空港に降り立った70歳の女性が,突然呼吸困難になり意識を失い,某救命救急センターに入院し肺塞栓症と診断された.幸いにも適切な治療により退院したが,その原因は長時間エコノミークラスの狭い座席に座っていたことにより下肢の静脈血栓が形成され,それが肺に飛んだためと判明した.しかもこの女性は機内の狭いトイレを嫌って,お茶なども飲まなかったという.このように機内の狭い座席に長時間座った結果,急に呼吸困難になる症状は「エコノミークラス症候群」と呼ばれ欧米ではいくつかの報告がみられている.
このような状態すなわち深部静脈血栓症(deep venous thrombosis;DVT)は一般に下肢静脈にみられ,発病年齢は50~70歳代に多く,高齢者では糖尿病,動脈硬化などいくつかの原因が重複している場合が多い.
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