BOOK REVIEW
―心から共感し自分を重ねられる一冊―『人生に必要なことはぜんぶ看護に学んだ 宮子あずさのサイキア・トリップ』
餅田 敬司
1
1滋賀医科大学医学部附属病院
pp.811
発行日 2007年9月10日
Published Date 2007/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101036
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本書は,雑誌『精神看護』の連載10年間分(計50回)をまとめたものです。精神科と緩和ケア科の混合病棟内での患者さんとのトラブルや失敗談,警察がらみの事件などに,著者が一生懸命対応している姿が描かれています。また一方では,私的な物思いにふけっている自分自身への問いかけ,さらに人生そのものへの問いもあり,著者の私生活での一面をのぞきみるような感覚に陥り,自分と対比させながら読んでしまいます。メインテーマは「人生とは何か?」。「うん,うん」と納得しながら,時には笑いを誘う元気の出る本です。
徳川家康が「人生とは,重い荷物を背負って遠き道を行くが如し」,お釈迦さまが「人生は苦であり,常に無常であり,縁により変わり行くものである」と言ったように,心のもちようが人生のいろんな場面で試されているように思います。臨床場面が人生道場のようにリアルに表現され,そのあるがままの文章に読者は共感していきます。
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