連載 買いたい新書
優しき挑発の書—宮子あずさの看護婦3部作—「看護婦たちの物語」「看護婦だからできること」「本音で話そう『看護婦問題』」
林 千冬
1
1東京大学医学部保健社会学教室
pp.266-267
発行日 1994年3月1日
Published Date 1994/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904496
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宮子あずさ氏著「看護婦たちの物語」,「看護婦だからできること」,「本音で話そう『看護婦問題』」は,著者の“看護婦3部作”ともいえる代表作である.すでに発表からいくらかの時間を経ているが,これらが看護界に呼び込んだ風は今なお新鮮さを減じていない.
さて,この3部作のうち最初の「看護婦たちの物語」(1992)は,某看護雑誌に連載されたものの加筆・修正版である.著者の病院看護婦としての実体験にもとづく,深みのあるこの「セミドキュメント・ノベル」には,連載時から「買ったら真っ先に読む」ファンが(評者も含めて)絶えなかった.この中で語られるさまざまな事例は,やや形を変えながら,のちの2作品やその他の論考の中にもたびたび取り上げられている。現在,看護婦をめぐる問題について意欲的に発言している著者の,原点をうかがうことのできる必読の書である.
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