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はじめに
毎年新人を迎える準備が始まると,春からどんな仲間と一緒に働けるのだろうと楽しみな反面,安全管理という点で頭を悩ます看護管理者も少なくないのではないだろうか。新人一人ひとりがナースとして一通りの業務やケアができるようになり自立するまでのあの大変な時期がまたやってくると。特に採血など臨床で必要となるさまざまな技術は,看護基礎教育のカリキュラム変更や無免許の学生が患者にリスクを伴う行為を行なうといったことへの倫理的問題などから学生時代に経験する機会は減少し,新人ナース自立の責任はそれぞれが就職した施設・部署が負う部分が多くなってきている。そのような新人が患者と相対する臨床で安全に看護を提供するために現場ではさまざまに工夫を凝らしたオリエンテーションを行なっている。
その1つとして,それぞれの部署で必要となる技術に対して行動目標や達成度を規定したチェックリストの活用があり,数多く利用されている。チェックリストは新人ナースにとっても先輩ナースにとっても日々の成長の指標となる。新人ナースは自己評価と新たな目標の設定の,先輩ナースは新人をサポートする方法や度合いを決定するための指標としているのである。
しかし,その活用のしかた次第で,個々の行動目標の達成ばかりにとらわれ,いわゆる詰め込み式の新人教育を行なうことになってしまう場合もある。また,真の意味で自立したナースとして成長できたと評価することは難しく,行動目標の達成だけでは患者の安全を考えた新人指導とは言えない。
そこで今回,ナースとして総合的な成長につながる指導を行なうためのチェックリスト活用法を考え,これまでの失敗をふまえて,病棟におけるスタッフの相互関係を重視できるように作成したチェックリストを紹介する。
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