特集 横浜市立大学病院患者取り違え手術事件から何を学ぶか
―本事件控訴審判決を読んで―医療界の常識と患者本位の医療を考える
飯田 英男
1,2,3
1関東学院大学
2奥野総合法律事務所
3前福岡・札幌高等検察庁
pp.684-689
発行日 2003年9月10日
Published Date 2003/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100893
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
本件は,医療の最先端にある大学病院において,しかも,チーム医療のなかで患者の取り違え手術事故を起こしたという点で衝撃的な事件であった。チーム医療は,医学の高度専門分化と医療の円滑・効率的な実施の要請に伴って進展してきたが,チーム構成員に責任を分担させることによって危険が増大するという観点はことさら軽視されてきたように思われる。
しかしながら,本件を刑事事件という視点から見ると,チーム医療の有するこのような負の部分が露呈しているように思われ,患者本位の医療を実現するためには,チーム医療における責任体制の在り方を重視するという視点が重要であると考える。
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.