連載 助産婦が好きだから・8
患者の権利宣言と私たち
岡部 恵子
1
1日本看護協会卒後教育部
pp.964-969
発行日 1987年11月25日
Published Date 1987/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207262
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研多生だった助産婦さんからのお便り
私は現在,日本看護協会の卒後教育部に勤めていますが,数年前,研修を終わったある助産婦さんがこんなお便りをくださいました。
『研修会で,"児の異常あるいは死亡という危機状況の中での妊産婦への関わり方について"というテーマで意見交換がなされていた時,私は黙ってきいていました。そして研修後,考えました。私には助産婦仲間に私の体験を話す義務があったのではないかと。たぶん,私が研修生の中で唯一のそんな辛い体験をもつ者ではなかったかと思うのです。だから"そんな時母親がどのように悲しみ,どのようなことを考え,どのようにその悲しみを癒していったのか。そして同じ医療者仲間に対し何を願ったのか"を話すべきだったのでしょう。なぜ話さなかったのかを考えてみますと,プライベートなことだからということと,自分が冷静さを保って話せるかどうか自信がなかったからです。でもやはり,お話したいと思います。きっと,次の看護に役立てていただけると信じるからです。
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