連載 彷徨い人の狂想曲・5
夕凪
辻内 優子
pp.404-408
発行日 2003年5月10日
Published Date 2003/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100839
- 販売していません
- 文献概要
- 1ページ目
平成9年12月24日 水曜日 真知子日記より
なんというクリスマスイブ! シュウが大学病院に入院した。サンタさんはシュウのところには来てくれないのか。狭い鉄格子のようなベビーベッドに入れられて,細い小さな手の甲に点滴の管が入れられて,それなのに健気に寝ている寝顔をみるともう可哀相で,情けなくて。そんなに重大な病気なのか。仕事が忙しくてシュウに気がまわっていなかったのかもしれない。年末までがんばればお正月はゆっくり時間がとれると思って,残業を続けていたのがいけなかった? どうか,どうか早く退院できますように!
平成9年12月24日 水曜日 看護記録より
本日入院。本年11月下旬頃より発熱。近医受診し感冒との診断で薬を処方され保育園にも通園していたが,全体的に元気がなく,薬をやめると発熱することを繰り返した。血液検査にて白血球数70,000,白血病疑いにて当院紹介となった。両親には不明熱の精査入院との説明がされている。父親はコンピュータ関係の会社勤務。母親も関連企業に勤務しており,患児は生後4か月より保育園に通園している。入院中は母親が付き添うとのこと。本日Drが点滴をする際,数回失敗をしたため患児が大泣きし,母親は不安と不信感を抱いている様子。母親の不安を取り除くためにも看護婦のほうから声かけをしていく。
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.