連載 彷徨い人の狂想曲・10
ヒポクラテスのヒポクラシー
辻内 優子
1
1心療内科・小児科・漢方医
pp.834-837
発行日 2003年10月10日
Published Date 2003/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100923
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米沢退助は,酒の臭いが漂う最終電車の片隅で一枚の薄い紙切れを睨んでいた。
血液検査をしたのが9月22日,そして今日が10月7日。今日まで俺は何の問題もなく,全く健康そのものだった。たまたま今日時間ができたから,検査結果を聞きに医者に行っただけなのだ。そうしたら,今日から俺は病人になった。もし結果を聞きに行くことがなかったら,ずっと健康なままだったのか。今までと何も変わっていないのに,検査結果を聞いた時点で病人になる。
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