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はじめに
近年,臨床看護現場では,新人期からマネジメント能力が看護実践能力の主要な構成要素として求められている。さらに,保助看学校養成所指定規則1) や看護師国家試験出題基準2) 等からは,看護基礎教育の時点からマネジメント能力を育成することが望まれている。
筆者らが1999年に看護系大学76校中72校を対象として実施した全国調査3) によると,8割強が学部教育において看護管理学教育を実施しているが,講義・演習・実習と体系化されていたのはわずか3校(4.2%)に過ぎなかった。また,その教育内容は多様であり4-6),教育方法を各校が模索している様相がうかがえた。現段階においても看護基礎教育におけるマネジメント能力の育成を目指した看護管理学教育は未確立であり,上泉7) も指摘するように継続教育も含めた体系化を進めていく必要がある。
本学では,平成12年度から,組織と個人の相互作用の中で看護を実践する素地を養うために,「目標管理」を中心に,講義と実習による看護管理学教育を開始した8)。講義では,実習に必要な知識として「病院組織」「組織行動論(目標管理を含む)」「看護提供システム」などを中心に行なった。実習では,病院施設における看護管理に関する理論と実践の学習をねらいとし,表1に示す内容で行なった。その運営の特徴は,5~6人編成の学生グループ全員で実習目標という共通目標に向け主体的に行動するというグループ学習法を用いたこと,学生と教員,そして病棟看護師長の三者が効果的に関わることによって成立する実習と位置づけ,各関係者の役割を実習要項に明示して意識化を図ったことである。
このような実習は全国的にもまれな試みであり,そのあり方について評価することが必要であるが,今回は当事者である学生の立場からの評価を得,今後の実習運営について示唆を得たので報告する。
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