連載 American Nursing Informatics[2]
プライバシー,守秘,セキュリティ―HIPAAと看護
鈴木 美穂
1
1ニューヨーク大学教育学部看護学科博士課程
pp.158-162
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100442
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情報技術の進歩やコンピュータサイエンスの発展とともに,さまざまな情報が紙から電子へと形を変えてきています。これにより情報の処理・管理,共有が容易になってきました。保健医療の場でも,複数の関係機関・施設間で,患者の個人情報の共有が可能となり,他機関での薬の処方や検査の重複を避けることができるなど,患者と医療者双方に利益をもたらしていくことは確かです。しかしながら,こうして医療情報の交換が容易になるほど,プライバシーが侵害される懸念も大きくなり,部外者の誰でもがその情報にアクセスできないよう保護することと,情報へのアクセスの簡便化を図ることとのバランスを保つ必要が生じてきます。
アメリカでは2003年4月,Health Insurance Portability and Accountability Act of 1996(HIPAA;健康保険の携行性およびそれに伴う責任に関する法律)1)により制定を義務づけられたプライバシー・ルール(Standards for Privacy of Individually Identifiable Health Information;the HIPAA Privacy Rule)2)が施行され,アメリカ史上初めて国全体を対象とする医療情報保護の法的規制が始まりました。日本でも2003年5月に個人情報保護法が施行されました。これは医療情報のみを対象にしたものではありませんが,医療分野,もちろん看護でも何らかの対応が必要になってくると思われます。
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