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患者ケアの安全性と看護におけるレポートカードの意義
綿貫 成明
1
,
菅田 勝也
1
1東京大学大学医学系研究科看護体系・機能学
pp.58-59
発行日 2004年1月10日
Published Date 2004/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100423
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- 文献概要
医療のレポートカードに関心がもたれるようになった背景
レポートカードとは,ある期間の医療組織(保険者や病院・老人ホーム等)や医療提供者の実績を盛り込んだもので,改善の必要な分野を特定し,改善の達成度やケアの質などの標準値を示すのに役立つ。北米では,病院看護職員のリストラや病床削減から,ケアの質と安全が懸念されるようになり,消費者も医療提供者も医療のレポートカードに関心を示すようになった。米国では,マネジドケアが普及し,ケアのコストと質の情報を消費者に提供するため,さまざまなレポートカードがある。米国の一部地域では義務づけられているタイプもあり,消費者よりも医療組織の関心が高い。カナダでは義務づけられているものはまだないが,米国のシステムがニュースで紹介されるなど関心は高く,カナダ連邦政府やオンタリオ州が義務づけの計画を策定している。
医療組織と提供者のケアの質についての説明責任を明確にすべきだという認識の広まりを受け,1987年には米国医療財政庁(HCFA)が高齢者医療保険(メディケア)の患者死亡率と病院順位付けを医療提供者向けに発表した。また,1990年代初頭には,医療機関認定合同委員会(JCAHO)が病院の実績を一般公開した。
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