特別記事
―救急の現場にクリニカルパスを導入して―急性心筋梗塞外来パスを用いた臨床指標の抽出および改善の試み
石木 良治
1
1トヨタ記念病院循環器科
pp.920-923
発行日 2006年11月10日
Published Date 2006/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100395
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救急の現場にクリニカルパスを導入した試みを本誌vol.16 no.1でも報告しました1,2)。慌ただしい状況下にある救急外来において,確実かつスピーディに治療,処置が行なえるようにするにはどうしたらよいか,その一つの答えがパスを導入することでした。急性心筋梗塞(Acute Myocardial Infarction:AMI)は突然発症し,多くの症例が救急外来を受診します。閉塞した冠動脈に血液が流れる,再灌流成功までの時間が,AMIの予後に大きく影響するため3),救急外来での迅速な初期対応が,とても大切であることがわかります。
われわれはAMIの診断後,緊急冠動脈造影を行なう症例に対して,2004(平成16)年11月からAMI外来パスを使用しています。AMIに対する治療として,カテーテルを用いた再灌流療法(Percutaneous Coronary Intervention:PCI)が一般的に行なわれています。すなわち,病院到着より心臓カテーテル検査室入室までの時間(Door to Labo Time),再灌流成功までの時間(Door to Balloon Time)が短いほど救命率は高く,心機能悪化も防ぐことができると考えられています。これらの時間は,AMIに対する急性期治療の質を表わす指標としてとても重要で,質の高い治療を行なえているかどうか,迅速に対応できているかどうかを判断する材料となります。われわれは,AMI外来パスを用いることにより,それらのデータを抽出し臨床指標として活用しています。本稿では,本パスを用いた臨床指標抽出と業務改善の試みについて紹介します。
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