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はじめに
皆様の病院では,救急外来はどのような場所でしょうか。一般的に非常に慌ただしく,ドタバタが絶えない場所ではないでしょうか。そんな場所でクリニカルパスが作れるはずがない,作っても使われるはずがない。また,クリニカルパスは「予定表」の延長というイメージが頭から離れない。そのように考えられる方が多いのではないでしょうか。われわれも当初は,同じような考え方でした。検査入院など,定型的な予定入院にパスは使うもの。救急外来はパスとは無縁な場所。そのように考えていました。
救急の現場で一番大切な,患者の病態をしっかりと観察し,必要な処置を確実に漏れなく行なうためにはどうしたらよいか。救急の現場でも,医療レベルを一定に保つためにはどうしたらよいか。そのためには,新しい発想が必要と考えました。
トヨタ記念病院(以下,当院)には年間およそ100例の急性心筋梗塞(AMI;Acute Myocardial Infarction)症例患者が来院します。AMIは,冠動脈の動脈硬化病巣が突然破裂し,血栓により閉塞することにより発症します。時間が経てば経つほど心筋のダメージが進み,心機能の低下を招きます。
AMI患者の予後に関係する重要な因子の一つは,再灌流が成功するまでの時間です1)。閉塞した冠動脈に,なるべく早く血流を再開することが大切です2)。そのため,救急外来における初期治療を,より的確かつスピーディーに行なうこと,より早期に心臓カテーテル検査を行ない,経皮的冠動脈形成術(PCI;Percutaneous Coronary Intervention)を成功させることが重要です。急性心筋梗塞外来クリニカルパス(AMIパス)は,そのようなニーズに応えるべく作成したもので,2004(平成16)年11月より運用を開始しています。本稿では,パスを作成するにあたって,われわれが工夫した点およびその効果について紹介します。
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