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はじめに
これまでの看護師配置数は,病棟師長の要望に応じて検討してきた。この根拠は,病棟の繁忙加減をいちばん知っているのは,師長だと確信しているからである。根拠のない話かもしれないが,病棟師長が繁忙加減を把握できていないとなると,それは病棟運営をしていけないということになると筆者は考えている。
師長は,さまざまなデータを出して,「病棟の忙しさ加減」と「その忙しさ加減に対する看護師配置人数」をレポートして夏の終わりには提出してきた。看護師の採用にあたっては,この師長が配置を要望してきた人数の採用に向けて,看護部は,看護師全体の必要人数を打ち出すためのデータを新たに作成し交渉にあたってきた。しかし,要望したからといって,その通り配置できるわけではもちろんない。
病院の機能の変化や役割拡大に応じるための夜勤体制の変更を機会に,患者ケアの必要な時間帯にシフトの交替が柔軟に対応できるようなさまざまな時間設定を行なった。まだ安定してきたとはいえないが,看護師の人数が必要な場所へ,必要なときに看護師を配置できるような体制にもっていけるように運用中である。
しかし,どんなに自部署内のデータを集めて,看護師を増員させようと思っても,米国のように看護師確保の権限が病棟師長に与えられていない以上,経営的側面から,経営陣を納得させるデータを出すことは,日本の現状ではあり得ない。とはいえ,何らかの方法で,看護師の確保を進言していかなければならない。
このようななか,重症度・看護必要度を一般病棟にも適応させて病棟単位で患者が必要としているケアの量を測ることができるようになったことは,患者の数だけではなく,ケアをする量の把握をするためのツールが提示されたということであり,主観的なデータではなく,ケアを必要としている状況を客観的に示すことができるという点で,非常に意義のあることととらえている。
このたびの診療報酬改定では,入院基本料の算定要件として重症度・看護必要度などの看護量の把握が,入院患者すべてに求められた1)。このことは,看護師配置の根拠の一助になるツールが登場したと意を強くしている。
当院の重症度・看護必要度の把握は,看護支援システムから入力してすべての病棟の必要量を把握できるようにシステム化し,この4月から運用を開始した。運用して間もないが,重症度・看護必要度のデータをマネジメントにどのように活かすか,その方向性を述べたい。
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