連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・14
向き合う会話こそ心の通い合いが……―『わたしたち 手で話します』
柳田 邦男
pp.674-675
発行日 2006年8月10日
Published Date 2006/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100348
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しばらく前のことになるが,手話通訳者の女性A子さんの手記を読んで,感銘深く学んだことがたくさんあった。A子さんは小学校1年生の時,近所の障害のある子と仲よく遊んでいた。母親が障害のあることに何の偏見ももたないで,A子さんとその近所の子とを積極的に遊ばせたのだった。A子さんはいつの間にか,友達の不自由なところを支えてあげるようになっていた。
A子さんは中学生になった時,テレビドラマで耳の聴こえない主人公の若い女性が飛行機で旅立つ弟を見送る時,手話で別れを告げる姿を,《美しい!》と感じ,それがきっかけで,高校に進学すると,手話クラブに入った。そして,大学では本格的に手話を学んで,手話通訳士の資格を取った。手話通訳士になると,耳の聴こえない人のさまざまな人間ドラマに立ち合うことになる。
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