特集 高齢者ケアの質をどうマネジメントするか
老人看護CNSの取り組みから
老人看護スペシャリストの役割拡大のためのストラテジー
中島 紀恵子
1,2
1新潟県立看護大学
2日本老年看護学会
pp.732-738
発行日 2005年9月10日
Published Date 2005/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100296
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わが国の高齢化対策からみた老年看護スペシャリスト教育の進展
わが国の高齢化対策は,1963(昭和38)年の老人福祉法の制定から始まったといってよいが,医療・看護サービスに関する質と量の整備が問題になり始めたのは1970年代の老人医療費無料化以降であろう。1980年代には老人保健法が制度化され,在宅(看護)ケアサービスの道が拓かれた。この年代は,世界の高齢社会の人口学的分析,社会経済に及ぼす就業と健康・福祉ニーズとサービスに関する研究の他,老人グループの市民参加活動や老年差別に対するアドボカシーへの制度上の課題が表在化した時代でもある。こうしたなかから「老人は活力ある個人である」といったエイジング研究の成果が明らかにされてきた。
このような世界の動向を踏まえ,国連は1982(昭和57)年,各国共通の高齢社会に対する21世紀型社会保障のあり方を考えるため,「高齢化に関する国際会議」をウィーンにおいて開催した。そこで採択された高齢化に関する国際行動計画のガイドラインがわが国の政策ビジョンに与えた影響は非常に大きい。今日では普通の考え方となっている「高齢者の社会的人権の尊重」「高齢者の自立生活保障」「高齢者の尊厳を支えるケア」などの言葉は,1980年代後半から1990年代にかけて成立した数々の諸法の中に生かされている。また,用語としての「老人」が圧倒的な勢いで「高齢者」に変化したのも1990年代以降である。
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