連載 私のこだわり看護管理 パート2 〈看護現場学〉クオリア創造に向けて・5
IV章:看護実践論 「コア」となる経験を経て
陣田 泰子
1
1聖マリアンナ医科大学病院看護部
pp.422-423
発行日 2005年5月10日
Published Date 2005/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100172
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これまで,「看護現場学」創造に向けて,組織の問題について考えてきた。今回から現場学の核となる実践論について述べたい。まず,私の看護の原点となった体験について語りたい。
昭和52年12月その人は入院してきた。筋萎縮性側索硬化症だった。歩いて入院してきたその人は,やがて寝たきりとなりすべての筋肉が動かなくなった。瞬きのみが自力でできるすべてだった。瞬きの仕方で「イエス・ノー」の合図を決めてコミュニケーションをとった。次第に呼吸困難が増強し気管切開を行なった。声を失ったその人は「死にたい!」と訪れるナースに訴えた。残っている力は「瞬き」と「意識」。そこにどのように働きかけたらよいのかみんなで考えた。
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