連載 事例と判例で考える病院の看護水準と事故防止・5
注射針による神経損傷
中村 春菜
1
1東京海上日動メディカルサービス株式会社メディカルリスクマネジメント室
pp.424-429
発行日 2005年5月10日
Published Date 2005/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100173
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はじめに
採血や注射は,医療機関で日常的に行なわれる処置である。それらに関するミスやトラブルも必然的に多く発生している。そのなかには対象者や薬剤の間違いもあれば,合併症などもある。その採血や注射による合併症の一つに注射針刺入による末梢神経の損傷がある。
採血や注射後に手先のしびれや,刺入部位の疼痛が続いた場合,身体的・精神的苦痛だけでなく,それにより生活へ支障をきたすことがあり,時として医事紛争へと発展することもある。その際,それが医療側の過失によるものなのか,不可避の合併症であったのか,それとも患者側の要因により発生したものなのか,などが問題となってくる。
注射針による神経損傷について争われた判例をいくつか見てみると,看護師が当事者となっているケースが多い。採血や注射に携わる看護師は,この合併症を予防するための知識と技術を備えておくことが不可欠である。今回は,採血や注射時の神経損傷に関する判例を3つ紹介し,そこから求められる看護水準を考察する。
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