新連載 個人情報保護法と医療・1
医療の何が変わる? 個人情報保護法全面施行
畑中 綾子
1
1社会技術研究システム
pp.398-399
発行日 2005年5月10日
Published Date 2005/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100165
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医療に関する個人情報と事件報道
「春一番」にレセプト舞う――今年2月,町田市役所で生活保護受給者世帯の医療保険用のレセプトが強風にあおられて舞い上がり,後日,住民が1枚を拾って市役所に届け出ました。レセプトには,氏名,生年月日のほかに,傷病名や診療内容などの情報が記載されていました1)。このような医療に関係する個人情報の流出については,近年,いくつかの報道がなされています。昨年12月,三重大学医学部附属病院で,378人の患者情報の入ったパソコンが盗難に遭いました2)。また,今年2月には,東京大学医学部附属病院の研修医が,6人の患者の名前や病歴情報を含む「病歴サマリー」と呼ばれる書類を電車内で紛失するという事件がありました3)。
現在,「情報」は,さまざまな場所で保管・管理されています。近年のネットワーク整備や持ち運び可能なPCの普及に伴い,情報が広範囲に流出するおそれが出てきました。この状況を受けて,2003年5月「個人情報の保護に関する法律」(以下,個人情報保護法)が成立し,今年4月,全面施行を迎えました。「情報」は,一旦流出すると取り戻しがききません。また,医療情報や信用情報といった,個人の名誉やプライバシーに関わるものについては,特に注意して取り扱わねばならないといえます。
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