特集 個人情報保護法と病院
【座談会】個人情報保護法の施行に向けて
辻本 好子
1
,
楠本 万里子
2
,
井川 澄人
3
,
瀬戸山 元一
4
,
神野 正博
5
1NPO法人ささえあい医療人権センターCOML
2日本看護協会
3医療法人医誠会医誠会病院
4高知医療センター病院
5特定・特別医療法人財団董仙会恵寿総合病院
pp.294-302
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100273
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2005年4月1日から,「個人情報保護法」が全面施行される.それに向けて厚生労働省は,2004年12月24日に「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」(以下,「ガイドライン」)を発表している.医療においても,個人の健康に伴う信用情報を管理する側の医療機関の体制が金融・信用機関や情報通信分野以上に不安視される傾向にあるといえる.個人情報保護を考えるうえでは,医療従事者には専門家としての自覚が,医療機関には組織としての取組みが必要なこととなる.こうした状況をふまえて,本座談会では,患者の立場,医療従事者の立場,医療機関設置者の立場などから,医療における個人情報保護について議論いただいた.
情報に関する医療者と患者の理解のずれをなくすこと
神野(司会) 個人情報保護法はあらゆる業種を対象としておりますが,医療が他業種と異なる点には「チーム医療」が1つキーワードとして挙げられると思います.チーム医療の中で,患者の個人情報はチーム内では垣根なく共有しようという風土が醸成されつつあります.それによって,事故を予防し安全な医療が提供できるはずですが,そうした時に,チーム内で徹底的に患者の個人情報は共有し,一度チーム外に出た時には徹底的に情報を守るといった考え方が重要になるでしょう.また,医療は今,テーラーメイド,オーダーメイドの時代といわれ,ただ治療をするにとどまらず,サービスそのものが個を扱う時代を迎え,ますます個人情報の取り扱いは難しくなることが予想されます.
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