特集 バランスト・スコアカードで看護部組織を変革する
萩市民病院におけるバランスト・スコアカードの導入―情報システム導入の視点から
原田 博子
1
1萩市民病院看護部
pp.364-372
発行日 2005年5月10日
Published Date 2005/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100160
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電子カルテシステム導入のコンセプトとその評価
当院は,2000(平成12)年4月移転新築の当初より,電子カルテシステムの運用による診療を行なっています。診療科は,当初8科で開始しましたが,医療圏に小児科病床がなくなる事態が発生したため,2004(平成16)年2月からは小児科を追加して9科になりました(表1)。電子カルテ導入のコンセプトは,「待たせない医療」「ミスのない医療」「わかりやすい医療」です。また,職員に対しては,診療情報の共有がチーム医療推進の鍵だと考え,導入することを決定しました。
電子カルテは,統合型診療システムとして,パッケージで導入しました。パッケージでの導入を選択した理由としては,第1に初期投資額の安さがあります。どのようなシステムを選ぶかは,将来の財務状況や経営環境の変化を見据えることとされています1)。しかし,開院当時の時点で行政側に,電子カルテの効果は理解させても,初期投資額(約3億3000万円)を投入するに足る,病院経営上の効果があることを理解してもらえるだろうかという懸念がありました。2000年には電子カルテシステムを導入している病院も少なく,開院準備資金に加えて,さらに電子カルテシステムに多額の資金を投入する余裕はなかったからです。第2に,パッケージシステムでは情報管理をする専門の職員も必要とせず,システムののせ換え費用もあまり大がかりにならないという利点があります。
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