特集 バランスト・スコアカードで看護部組織を変革する
昭和大学病院におけるバランスト・スコアカードの導入―病院機能評価を受審して
市川 幾恵
1
,
塚原 恭子
1
1昭和大学病院看護部
pp.373-378
発行日 2005年5月10日
Published Date 2005/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100161
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
昭和大学病院は東京都品川区で唯一の大学病院・特定機能病院として高度先進医療と地域医療との連携を担っている。昭和大学病院と昭和大学病院附属東病院の2病院に分かれているが,看護部は実務では同組織として管理している(以下,両病院を当院という)。21世紀に入って医療環境は急激に変化している。2003(平成15)年8月に厚生労働省より出された「医療提供体制の改革のビジョン(医療提供体制の改革に関する検討チームのまとめ)」では,(1)患者の視点の尊重,(2)質が高く効率的な医療の提供,(3)医療の基盤整備の3点が改革のビジョンとして挙げられている。これを受けて各組織でさまざまな動きがあるが,その原点は医療を担う人材の確保と資質の向上である。また,今日の医療現場での最重要課題は医療安全管理体制の整備である。
私たちは,時代の要請に応じた看護のあり方とその見直しを絶えず迫られている。そのために時代のニーズに対応する看護の提供ができる体制づくりと,人材を育成する組織への改善を継続して行なっている。しかしながら,21世紀に入ってダイナミックに変わる社会環境の変化に対する医療組織の対応はまだまだ不十分である。特にこの数年は,医療安全管理,倫理,自己決定権の強化,第三者評価など,社会の多様なニーズに対応できるケアを提供するために組織を運営するには,これまでの経営管理方法ではうまく機能しないのではないかという危機感を抱いていた。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.