連載 CURIOSITY SQUARE & CIRCLE・14
[高田富士雄さん]―SQUARE 組織の取り組みを職員にどう示していくか/CIRCLE 現場で起こる問題は,組織の問題
伊豆上 智子
1
1東京医科歯科大学医学部附属病院
pp.79,148-149
発行日 2005年2月10日
Published Date 2005/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100108
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何のためになぜ働くのか。就職して社会に出ると,時間が経つにつれ働いていることが当然のようになってしまって,改めてじっくり考えることもあまりないのではないだろうか。
看護の仕事をするには免許が必要で,その取得のために求められる教育が影響しているのか,看護師には特に強い職業観と使命感を備えている人が多いようだ。「看護師の方々は,所属している病院がどうとかいう以前に,自分の職業を全うするという意識が非常に高い。環境の厳しさや残業の多さには少々の不満はあるようですが,こんなに大変な仕事なのに手を抜こうとはあまり思わないんですね」。国内外のさまざまな組織で,30年以上人事一筋できた高田富士雄さんは,「医療提供組織が企業と比べて,あまり経営を意識せずにやってこられたのは,職業への使命感が強い医師や看護師が組織の大半を占めていることも大きな理由ではないか」と指摘する。病院など医療提供組織の使命とは,何よりも医療の提供であり,医療者の職業使命そのものと重なる部分が多いからこそ,企業の経営管理のように組織使命や理念が重視されなくても,自らの職業使命が行動を律し組織を成り立たせてきたのかもしれない。
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