特集 移動介助技術の指導方法─ボディメカニクスを実践に活かす
ボディメカニクスから学ぶ転倒・転落の危険と安全確保
鈴木 ひとみ
1
,
十九百 君子
1
1神戸常盤大学保健科学部看護学科
pp.1086-1091
発行日 2013年12月25日
Published Date 2013/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102572
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
移動・移乗介助技術の特性
看護師の移動,移乗介助技術は,ベッドあるいは椅子で安定した患者の体を,別の場所に動かすことを介助する援助技術である。このとき看護師は,対象となる患者の身体が動ける姿勢をつくり,安全に効率よく移動させることを目指す。しかし,ここで1つの問題が生じる。“患者の身体が動ける姿勢をつくる”ということは,安定した姿勢を保っている患者の身体を,一時的にも不安定な姿勢に移行させ,次なる安定した姿勢へと変化させる過程をたどることになる。つまり,身体を移動させるにはわずかな瞬間であっても患者の身体は不安定な状態になるので,転倒・転落のリスクが発生するということである。このリスクを回避し,安全な移動・移乗介助技術を行うにはどうすればいいのか,そしてそれを看護学生にいかに実感をもって教授するのか。本稿ではこの課題について,ベッドから車いすへの移動介助技術に焦点をあてて考えたい。
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.