焦点 訪問看護の現状とグランドデザイン
海外の訪問看護の実態—日本の将来展望のために
島内 節
1
1東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科
pp.67-77
発行日 2002年2月15日
Published Date 2002/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900747
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はじめに
わが国は在宅ケアの制度化が先進国のなかで最も遅れ,一方で平均寿命は世界一を誇る高齢国である。日本の在宅ケアに関する制度は老人保健事業のなかの訪問指導事業が1983年に,1992年に老人訪問看護ステーション,次いで訪問看護ステーションがサービスを開始し,2000年には介護保険制度が施行された。しかし,あまりにも急速な後期高齢者の増加と退院時継続ケアのシステムがなく訪問頻度も少ないために,寝たきり高齢者は世界一というのが現状である。また,痴呆症も増えている。一方,医療法改正を控えて入院期間の短縮が進み,比較的急性期の延長上で退院する患者が増え,在宅ケアのニーズは拡大すると予測されている。母子や青壮年期の対象者へのケアは諸外国では日常化しているが,わが国ではごくわずかしかなされていない。
ここでは,在宅ケアについて世界の研究動向と先進4か国のケアシステム・ケア提供の特徴にふれ,わが国の在宅ケアの現状を明らかにし,課題について述べたい。
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