焦点 ヘルスプロモーションに関する研究
思春期の健康行動測定尺度の開発
丸 光惠
1
,
工藤 美子
2
,
佐藤 有紀子
3
1千葉大学看護学部(小児看護学)
2愛知県立看護大学(母性看護学)
3千葉大学看護学部(基礎保健学)
pp.183-192
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900394
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はじめに
近年の疾病構造の変化や,高齢者人口の急増に伴って,より健康的な生活や,健康増進,疾病予防などの健康行動に対する関心が高まっている。特にがんや成人病に代表される,生活習慣と密接な疾病の予防には,若年期からのアプローチの重要性が多くの研究によって指摘され,専門職による教育指導や啓蒙活動などのさまざまな試みがなされている1-10)。しかし,中学・高校生に対する健康教育の現状を見ると,禁煙や禁酒などの予防的行動に重点が置かれ11-29),健康を維持し,促進するという観点は明らかではない。さらに,健康行動に関連する国内外の研究は,主として壮年期以降の年齢に集中しており30,31),予防教育が有効とされる中学・高校生の健康行動を測定する尺度は欧米においても散見されるのみである。中学・高校生の健康行動を明らかにする目的の研究は多いが,特定の健康行動のみに集中している場合や8,9,14,15,20-29),医療従事者・教育者にとって必要であると判断された項目に限られているなど,測定尺度の構成概念妥当性に問題がある場合が多く,この年齢層に特徴的な健康行動を多面的な角度から測定するものはほとんどない。
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