焦点 ヘルスプロモーションに関する研究
更年期女性のヘルスプロモーションと看護に関する研究—更年期外来における健康教育システムの開発と評価
野地 有子
1,8
,
杉山 みち子
2
,
箕輪 尚子
3
,
久代 和加子
4
,
結城 美智子
5,9
,
小野(菊池) 由美子
6
,
久保田 俊郎
7
,
尾林 聡
7
,
麻生 武志
7
1前:聖路加看護大学
2国立健康・栄養研究所
3NTTデータ通信ヘルスケアセンター
4聖路加看護大学
5前:聖路加看護大学
6前:東京医科歯科大学産婦人科
7東京医科歯科大学産婦人科
8現:東京医科歯科大学社会医学研究部門(疫学)
9現:宮城大学看護学部
pp.193-202
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900395
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はじめに
ヘルスプロモーションは,21世紀にむけて看護実践にとって重要なアプローチの1つとなってきている1)。1970年代にWHOヨーロッパ事務局において検討が始まったヘルスプロモーションは,1986年のオタワ憲章において,先進国を中心に世界的なヘルスポリシー(健康施策)の方向を示した。ヘルスプロモーションモデルの1つである,L. W. Greenら2)のプリシード/プロシードモデル(1991年)は,疫学診断による健康の1ステップ先に社会診断としてQOL(Quality ofLife)を設定し,評価のターゲットとしている。このモデルは,保健行動に注目するだけでなく環境要因の重要性も示し3),看護職による患者の身体的・精神的環境の調整の重要性も示していると言える。また,アセスメントから評価までの9段階は看護過程とも連動しており,看護におけるヘルスプロモーション研究のモデルとしてその導入は有効であると考えられる。
更年期女性を対象とした看護介入および看護研究は,わが国では緒についたばかりである。わが国では,少子高齢社会を背景に更年期から老年期にかけてのQOLの向上に関心がもたれ4-8),1995年より日本更年期医学会におけるコメディカルの研修がスタートし,同年,厚生省老人保健健康増進等事業として本邦における更年期の調査研究が始められている9)。
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