焦点 看護ケアの質の評価に関する研究
原著論文
看護ケアの質を構成する要素の検討—量的調査を用いて
柴田 秀子
1
,
上泉 和子
2
,
粟屋 典子
3
,
吉村 千代子
4
,
横道 みさを
5
,
桧垣 美香子
5
,
鈴山 久代
5
,
勝原 裕美子
1
1兵庫県立看護大学
2兵庫県立看護大学
3国家公務員共済組合連合会虎の門病院・看護部
4兵庫県立塚口病院
5兵庫県立尼崎病院
pp.287-300
発行日 1995年8月15日
Published Date 1995/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900308
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はじめに
病院医療サービスの質の向上,あるいは改善の動きに伴い,日本においてもここ数年,専門職としての看護の質に関する評価への取り組みや研究が行なわれるようになってきた。たとえば,①日本看護協会による看護機能の自己評価である『新病院看護機能評価マニュアル』の改訂1),②JCAHOにならった第三者評価機関である病院医療の質に関する研究会による『病院機能評価スタンダード』の看護ケアスタンダードの作成2),③看護QA研究会による構造・過程・結果の枠組みを用いた看護ケアの質構成因子の測定用具の開発3,4)などがある。しかし現在ある指標やスタンダードは,具体的にどのような看護ケア,看護技術が質の高い看護方法であり,何を看護の質の基準とするのかを明らかにしていない。
そこで研究の第1段階では,質保証に関する既存の文献の検討5)と,熟練看護婦を対象とするデルファイ調査を行ない,看護の質に影響を及ぼす73の看護ケア項目を帰納的に抽出した。さらにそれらを内容的に分析し「人間尊重の重視」「信頼関係の重視」「苦痛の緩和」「看護婦の姿勢」「個別性の尊重」「家族へのケア」「モニタリング機能」「ケア体制の条件」「適切な看護過程」という9つの要素に分類した。そしてこれら9つの要素は,患者にとって良い結果に影響する看護の主要な側面を表現しているものであると考えられた6)。
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