STUDY&REVIEW
コメント
中西 睦子
1
1日本赤十字看護大学
pp.335-337
発行日 1990年7月15日
Published Date 1990/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900259
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
これは教師の誠実な実践記録といったらいいような論文です。淡々と事実経過が述べられております。教師の行動をみると,サポーティヴで実に適切です。学生はといえば,少なからぬ学生がそうであるように,患者(この場合は思春期の女子)とのかかわりにつまずき,それを見事に克服してすばらしい自己洞察を遂げております。
書かれている事実は概略このようですが,報告者の問題意識は,実習中「学生の抱えている問題に目を向けていなかった」ことにあります。それは前文とのからみでみれば,学生を「全人的に把握」していなかったということのようです。この「学生の抱えている問題」を,教師があとからどのように捉えたかについて明示的には何も書かれていませんが,“コーピング行動を見ると,「つまずきを認められない自分」「H子(患者)にぶつかってはいけないが何とか実習を展開したい」学生の姿がある”という記述がありますから,そのことを言っているのだろう,つまり,この学生の心の葛藤のことを言っているのだろうと,ひとまず推測できます。
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.