焦点 感染予防に関する看護研究
文献展望
院内感染に関する看護研究の動向と今後の展望—日本看護関係文献集の収録文献を中心に
高橋 泰子
1
1東京大学医学部付属病院看護部・手術部
pp.264-268
発行日 1994年8月15日
Published Date 1994/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900203
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はじめに
院内感染に関する研究分野は学際的である。病院の空調設備や設計などの方向から検討すれば建築学的になり,経済性や感染対策委員会活動などの施設管理的視点から検討すれば病院管理学的または臨床病理学的となる。また公衆衛生学的アプローチや疫学的アプローチなどもある。しかし,どの分野からのアプローチであっても,看護的視点から検討されたものあれば,看護研究として取り込んでもよいのではないだろうか。
看護関係者による院内感染に関する研究は,林による病棟の空中落下菌の研究に始まると考えられる。林は1971年に,「院内感染の対策」という論文の中で,今まで治療中心であった院内感染対策に対して,病棟における環境管理と病院管理の重要性を指摘し,院内感染対策に新しい視点を示すとともに,その担い手として欧米におけるインフェクションコントロールナース(ICN)の働きを紹介した1)。
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