けんさアラカルト
院内感染の動向
富沢 真澄
1
1いわき市立総合磐城共立病院臨床検査部
pp.1096
発行日 1999年8月1日
Published Date 1999/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903950
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院内感染とは,基礎疾患を有する患者が病院内で別な感染症に罹患することであり,最近の医療技術の進歩,および治療としての抗菌剤の充実に伴い,高齢者,免疫機能の低下した易感染を有する患者が増加し,それらの患者においては院内感染症を併発する危険性が高く,ときには重篤な状態が生じる.院内感染は,一般細菌,結核菌では医療従事者を介しての患者間での感染,ウイルス感染では医療行為中の針刺し事故による医療従事者の感染が問題となっている.1996年(平成8年)4月より診療報酬として院内感染予防対策費が認められ,病院での院内感染対策の充実が図られている.
一般細菌による院内感染としては,MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌),緑膿菌,Serratia, VRE(バンコマイシン耐性Enterococcus属)などが問題となる原因菌である.日本では1980年代よりMRSAが増加傾向を示し,現在に至っている.MRSAは多剤耐性であること,除菌に苦労することなどから治療に難渋するため,MRSAの増加が問題となり,MRSAの減少のための努力がなされている.
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