焦点 臨床看護の概念化に向けて
解説
看護実践の卓越性とケアリングのパワー—「ベナー看護論」を読んで
羽山 由美子
1
,
高田 早苗
2
,
木下 幸代
2
1聖路加看護大学
2聖路加看護大学大学院
pp.265-274
発行日 1993年4月15日
Published Date 1993/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900143
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はじめに
アメリカでは1970年代に入ってから,看護理論に関する著作の出版がとみに増えてきた。看護の大理論(grand theory)とも言える概念的体系化を試みたオレム1-3),キング4,5),ロイ6,7)らは,精力的に看護理論書の改版を重ねている。また,1950年代以降の看護理論家の仕事を紹介し論評する理論集がいくつものグループから発表された8-10)。さらには,理論に関する理論書あるいは理論構築の書などメタ・セオリティカルな著作が相次いでいる11-13)。
オリジナルな看護理論に関する新たな動向としては,中範囲(middle range)の現象を取り上げ,それについてのデータに基づいた研究から理論化を試みた仕事があげられる(例えば,母子看護の領域におけるBarnard, K E.14)やMercer, R. T. ら15)の業績)。これは特に,1980年代以降の理論構築の特徴とも考えられる。
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