原著論文
痛みを体験している幼児後期の子どもと看護婦との相互の関係性—第1報:痛みを体験している子どもはどのように対処してるのか
広末 ゆか
1
1兵庫県立こども病院
pp.447-454
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900045
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はじめに
痛みは,主観的で,複雑でつかみどころのないものである1)。それは,痛みが生理的な障害のみでなく,その背後で心理的,感情的要因が複雑に絡み合い,簡単に痛みの存在をアセスメントすることが難しいためである。また,成人と子どもでは痛みのとらえ方が異なることが多い。子どもの痛みの場合,言語的認知的レベルの程度により,痛みの表現や痛みに対する表現の仕方が様々である。
子どもの痛み方に関して,「子どもは痛みを感じない」,あるいは「体験しない」といった考え方が長く存在している。また,痛みの概念は大人を中心に発展し,医療においても子どもの痛みに対する治療は成人に較べて進歩してこなかった。大人の痛みのとらえ方を使って子どもの痛みを評価することは,子どもの痛みのとらえ方を無視したり,誤った理解をすることになる。このような方法で痛みを持つ子どもへ介入が試みられると,痛みを体験している子どもは,痛みを緩和されずに,恐れや不安を増し,痛みを増強させる結果が引き起こされやすい。
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