特集 患者とともに進める痛みのケア
痛み経験から見えてくること—英国での患者体験から
笹川 寿美
1
1順天堂大学病院ICU
pp.631-634
発行日 1998年7月1日
Published Date 1998/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905626
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はじめに
痛みの定義づけについては,これまで多くの研究者によって,神経解剖学的および神経生理学的概念,そして心理領域の面からさまざまな検討がなされてきた.その結果,多くの医療従事者はそのメカニズムについて理解を深めることができ,治療法も見い出されている.しかし,それにもかかわらず痛みのマネジメントが解決困難な問題の1つとされているのはなぜなのだろうか?痛みは個別性,主観的な患者個々の独特な体験であることがその大きな原因の1つであると言える.
現在,英国においては多くのPain controlnurse(以下ペインコントロールナース)が急性,慢性および癌性の痛みのマネジメントにおいて積極的なはたらきを病院をはじめとした医療施設で行なっている.筆者は,昨年,英国の大学に留学中,子宮筋腫の手術を受け,患者として痛みを体験したことが看護婦として痛みについて再考する機会となった.
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