特集 必修.周産期の心のケア
子どもの死を体験する母親をケアする
成田 伸
1
,
横尾 京子
1
1広島大学医学部保健学科
pp.1043-1047
発行日 1998年12月25日
Published Date 1998/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903474
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はじめに
人は一生の中でいくつもの死に出会う。周囲の人と失った人の思い出を分かち合うことで悲しみは慰められ,人はその悲しみから立ち直っていく。
しかし,子どもの死を体験している両親の悲しみは,この世でもっとも孤独な悲しみだと言われている1)。流産や死産,出生直後の新生児の死亡では,その子どもについての思い出がごく限られている。その事実を知っていて話し合うことのできる周囲の人も限られている。そのため,子どもを失った両親は,悲しみや苦しさを周囲にわかってもらえず,孤立しやすい。またそのことが両親を傷つきやすくし,悲しみからの回復を遅らせることになる。
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