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はじめに
1995年阪神淡路大震災以降,災害拠点病院の設立,DMATをはじめとする医療チームの構築など,医療現場においては様々な取り組みが開始された。筆者は,自身の阪神淡路大震災での医療活動の経験が発端となって,災害看護の研究を始めた。
最初に取り組んだ研究は,「病院看護婦へのアンケート調査からみた災害看護に関する課題」という実態調査であった(西上,末原,2000)。要約すると,病院に勤務する看護師がどのように災害看護に取り組んでいるかという実態調査であった。その後,病院における防災の研究を行いたいと思い,博士後期課程に進学するにあたり,自然災害に対する病院看護部の備えについて研究に取り組むこととした。
それから約20年,病院看護部の自然災害に対する備え測定尺度を作成し,それをWEBで回答できるシステムをつくった。加えて,病院看護部の備えが進むように,実践の内容も明らかにしてきた。そのような中,近年,大規模災害が懸念されることもあって,認定看護管理者教育課程のセカンドレベルでは,「質管理Ⅱ・安全対策」において「災害対策」が取り上げられている。筆者は現在,複数の施設でこの講義・演習をしていく中で,実際に自分の作成した尺度やツールを紹介することができている。
本稿では,この連載でこれまで紹介されてきた実践モデルと少し趣を変え,尺度開発について筆者が取り組んできた内容を紹介したい。尺度作成については,概念を明確にし,概念をあらわす項目をたくさん集めた。測定形式を決定し,専門家によるチェックを受けたのちに,プレテストを経て,本調査を実施していった(図1)。こうして開発した,自然災害に対する病院看護部の備え測定尺度によって,各病院看護部は自施設の災害への備えの状況をチェックし,不足を理解することによって今後の備えに役立てたり,定期的に回答することで備えの経年変化をみていったりすることができる。
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