特集 質的研究と研究倫理—研究を育てる倫理の在り方再考
認知症の発症前予測・予防のELSIと研究倫理
木矢 幸孝
1
1東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター公共政策研究分野
pp.459-465
発行日 2024年10月15日
Published Date 2024/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681202248
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
認知症研究・医療の現在地
本稿の目的は,認知症註1の発症前予測・予防に関する倫理的・法的・社会的課題(Ethical, Legal and Social Issues/Implications:ELSI)に関するこれまでの研究を概説し,それに関連する研究倫理について議論することである。
認知症の人びとは世界および日本で増加の一途を辿っている。世界では2023年には5,500万人以上が認知症とされており,2030年には約7,800万人,2050年には約1億3,900万人まで達すると推計される(WHO, 2022, p.1)。日本では2022年の時点で約443万人が認知症と推定されており,2030年には約523万人,2050年には約586万人にまで増加することが見込まれる(二宮,2024)註2。
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.