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第5土曜特集 心不全診療の未来戦略――ゲノム,AI,多臓器連関が拓く新時代
AIを活かした未来の心不全診療
医療AIにおけるELSIと心不全診療の未来
Ethical, legal, and social issues of medical AI and the future of heart failure management
藤田 卓仙
1,2,3,4
Takanori FUJITA
1,2,3,4
1東京財団
2慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室
3名古屋大学情報連携推進本部
4横浜市立大学データサイエンス研究科ヘルスデータサイエンス専攻
キーワード:
医療AI
,
ELSI(倫理的・法的・社会的課題)
,
データガバナンス
,
生成AI
,
ガイドライン
Keyword:
医療AI
,
ELSI(倫理的・法的・社会的課題)
,
データガバナンス
,
生成AI
,
ガイドライン
pp.879-882
発行日 2025年11月29日
Published Date 2025/11/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295090879
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心不全は高齢化に伴い増加し,再入院率や死亡率の高さから社会的負担が大きい.近年,AI技術は診断補助,予後予測,治療最適化,遠隔モニタリングなどに応用され,心不全診療の効率化と精度向上に寄与している.一方で,生成AIの普及により,医療AIの活用は新たな段階を迎えているが,その実装には倫理的・法的・社会的課題(ELSI)への対応が不可欠である.具体的には,患者データ利用に伴うプライバシー保護,ブラックボックス性に起因する説明可能性と説明責任,アルゴリズムの偏りによる公平性の損失,急速に進化する技術への法規制やガバナンスの遅れ,さらには医師の役割変化や患者との信頼関係への影響が指摘される.今後は,データ利活用と安全性確保の両立,公平性や透明性を担保する枠組み,AIリテラシー向上と文化的実装を通じ,人間中心の医療を維持しつつAIを活用する体制整備が必要である.これにより心不全診療は “事後対応” から “予測・予防中心” へと転換し,患者利益の最大化と医療持続性の確保が期待される.

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