特集 質的研究活動を促進するための資源QUARIN-J(Qualitative Research Implementation Network of Nursing-Japan)
査読の経験
現象学的研究と査読
西村 ユミ
1
1東京都立大学大学院人間健康科学研究科
pp.354-355
発行日 2024年8月15日
Published Date 2024/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681202222
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私は博士課程で,植物状態患者に携わる看護師の経験を開示するために,メルロ=ポンティを手がかりとした現象学的研究に取り組みました。その後縁あって,メルロ=ポンティを専門とする哲学者に共同研究を提案され,その成果として,『現象学的看護研究—理論と分析の実際』(医学書院)という書籍の出版に至りました*。
しかし当初,研究方法に関する本を書くことに抵抗があり,何度も相談をして出版を決心したという経緯があります。その理由は,現象学における方法は,予め定められているのではなく,探究しようとする対象との接触において初めて見えてくる,その接触において吟味される,言い換えると,方法は「対象のほうが強いてくる」**とされているため,現象学的方法を書籍にまとめることは,現象学の考え方に反するのではないか,と考えたためです。
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