特別記事
現象学的研究の成果を伝えるための論文投稿【査読対応編】—採択に向けたTips
栩川 綾子
1
1日本赤十字豊田看護大学看護学部
pp.484-493
発行日 2024年10月15日
Published Date 2024/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681202252
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日本において現象学的研究は,1990年代から学会誌に掲載され始めた。近年は既存の分析方法にならって分析・記述した研究だけでなく,定型化された方法を用いずに現象学者の思想を研究の理論的背景にする研究も公表されるようになった(西村,2014a)。筆者は,現象学的研究のそのどちらも行い,また査読の対応も経験した。特に後者の方法の査読では,論文を査読者と共につくり出していたという感覚をもっている。それは,査読によって,論文が変身していくからであった。すなわち,現象学的研究の論文の採択に向けたTipsは,査読者のコメントにこそ埋め込まれているともいえる。
本稿では,査読者のコメントをもとに,査読者が現象学的研究論文を査読する際に何を視点に行っていたのか,筆者が気づいたことを述べる。またそのような視点に対して論文をどのように書いたのかを,今度は執筆者の視点から,筆者の採択された論文から具体的に示していく。そのため本稿は,査読者からのコメント対応に向けたHow Toとは異なるものである。現象学的研究が何をめざしているのかを読者とともに再確認し,現象学的研究を投稿することの意味を,多くの方に考えてもらえたらと思う。
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