特集 ケアサイエンス—「ケア共同社会」の実現をめざす学際的アプローチ
ケアサイエンスをどう構築していくか—日本学術会議での議論をもとに
西村 ユミ
1
1東京都立大学大学院人間健康科学研究科
pp.190-200
発行日 2023年6月15日
Published Date 2023/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681202096
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はじめに
「ケアサイエンス」という概念は,第23期(2014年10月〜2017年9月)の日本学術会議健康・生活科学委員会看護学分科会において議論され,『学術の動向』(西村ら,2017)でその必要性が紹介された。少子高齢社会,人口減少,大規模災害などによって引き起こされる,これまで経験したことのないケアに関わる複雑かつ逼迫した課題とそれへの危機感が,この概念を生み出した背景にある。第24期(2017年10月〜2020年9月)には,「臨床医学委員会,健康・生活科学委員会合同少子高齢社会におけるケアサイエンス分科会」(以下,ケアサイエンス分科会)註1が設置され,2020年9月2日に,提言「ケアサイエンスの基盤形成と未来社会の創造」(日本学術会議,2020)を発出した。
提言発出は,日本学術会議の科学的助言に関わる活動である。それゆえまずは,日本学術会議の成り立ちと役割について紹介する。
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