連載 政治と看護の話をしよう!・10
機能分化よりも,機能をどう果たすかこそ議論すべき
石田 昌宏
pp.1161
発行日 2012年12月10日
Published Date 2012/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102646
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日本の二つの大政党の党首も決まり,散々揉めた末に決定した税と社会保障に関する一体改革の具体的議論がようやく進みそうである。設置が遅れていた社会保障制度改革国民会議のメンバーも,もうすぐ決まる。財政は厳しいとはいえ,厳しさだけ強調されるのではなく,どうやれば生活を豊かに支えられるのか,しっかり議論してほしい。
医療や介護については「2025年の姿」をすでに示しているが,機能分化が中心で,特に一般急性期については平均在院日数9日など,高いハードルを感じる。実態もそれに向けて変化し始めている。診療報酬や介護報酬の改定がそれを後押ししている。ただ現場では,早期に退院を余儀なくされた高齢の患者が,自宅に戻ることが叶わず,療養病床などで症状が重い状態のまま退院のめどがないまま増えている。それが,今の全国の病院の姿だ。高齢化が進む地方ほど,その傾向が強い感じがする。日本はこれから大都市圏で急速な高齢化を迎える。先を考えると寒気がする。
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