特集 ヘルスヒューマニティーズと看護
聖路加国際大学の取り組み
—〈大学院看護学研究科新設科目〉—「ヘルスヒューマニティーズ3科目」の概要と意義
木下 康仁
1
,
井上 麻未
1
,
射場 典子
1
1聖路加国際大学大学院看護学研究科
pp.572-583
発行日 2022年12月15日
Published Date 2022/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681202044
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0 開講準備の基本的な考え方と経緯
木下康仁 聖路加国際大学大学院看護学研究科特命教授
聖路加国際大学では2023年度から大学院看護学研究科にヘルスヒューマニティーズ概論Ⅰ,同概論Ⅱ,健康と病いの語り概論の3科目(半期2単位,選択科目)を開講予定であるが,この準備過程での基本的な考え方と進め方について述べておくことは看護の単科系大学に参考になるのではないかと考えられる。ヘルスヒューマニティーズ(Health Humanities)の特性については本特集の他稿で論じられているので,それらを参照していただきたい。
ヘルスヒューマニティーズは看護学の専門領域として確立されているわけではないが両者は密接な関係にあり,宗教,文学,歴史,文化,芸術など人間の存在について深く探求する人文学と社会科学の豊富な知的資源によって,看護学の理論と実践を下支えする役割を期待される学際領域である。ヘルスヒューマニティーズへの関心はカリキュラム上の明確な位置づけがされていなくても伝統的に看護の専門領域の中に含まれているのが通例であり,アートとサイエンスという表現に象徴的に示されている。カリキュラム上では基礎的教養科目群として開講される場合が多く,聖路加国際大学大学院看護学研究科の場合,基盤領域として構成されている。
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