緊急情報
新設医科大学—構想と動き
水野 肇
pp.65-74
発行日 1969年11月1日
Published Date 1969/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203800
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関心の集まる新設医科大学の性格
インターン問題に端を発した「医学部紛争」はやがて全学の紛争となり,大きな社会問題にまでエスカレートしていった.それから1年半たった現在,ぼつぼつ授業が再開されて,一見,平静になりはじめた医学部もある.しかし,あれだけ大きな問題をかかえ,全学スト,機動隊導入,内ゲバまでくり返したにしては,問題の本質は,一向に解決されたキザシはなく,どちらかといえば,"大学法による閉鎖や廃校へのおそれ"と"学生側がもう待てない"といった心境になりはじめて,授業再開になったという感が強い.
医学部改革は,いうまでもなく非常にむずかしい.100年という歴史と伝統をもち,そのうえ,医学そのもののもつむずかしさ,学問としての医学の進歩,それに医療制度が微妙にからんで,そう簡単に改革ができるものではない.やはり,改革するには10年ぐらいの月日が必要で,その間少しずつ改良されていって,10年たってみて"この10年間に変わったな"という感じをもつというものであろう.
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