特集 「ケアの意味を見つめる事例研究」の実践への拡がり
「ケアの意味を見つめる事例研究」の実践への拡がりと今後の展望
山本 則子
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1東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻高齢者在宅長期ケア看護学/緩和ケア看護学分野
pp.242-245
発行日 2022年6月15日
Published Date 2022/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201990
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「ケアの意味を見つめる事例研究」の開発意図
「ケアの意味を見つめる事例研究」の検討を始めて,7〜8年が経過した。事例の持つ力に着眼し,可視化しにくい実践知を伝播・共有可能にすることを目的とすることだけを見据えて,自由に探索的に,なるべく「これまでのやり方」や「研究のあるべき姿」だけにとらわれないようにしながら取り組んできた。現場の実践者とともに行う事例研究について報告しているうちに,期待よりもはるかに多くの方々から関心を持っていただくようになった。
私が看護学研究者としてのこれまでの探索ののちに事例研究の意義にたどりつき,「ケアの意味を見つめる事例研究」という研究方法をつくるに至った経緯は,以前にも書いた(山本, 2018;2022)。実証主義の考え方の下で部分(要素)に切り分けざるを得ない「知」では捉えきれない看護・ケアの「実践知」を,なんとか伝播・共有して,みんなで優れた実践ができるようになりたいと思ったのが発端だった。
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