特集 —若手研究者が挑む—国際基準のエビデンス構築のための実験研究 徹底解説
5.実験研究の研究事例
5-2 実験研究の連続性—エビデンスを積み重ねる意義:温熱刺激の効果を探る研究から静脈拡張時に用いる手技の効果を検証する研究へ
山上 優紀
1
1奈良県立医科大学医学部医学科疫学・予防医学講座
pp.316-325
発行日 2021年8月15日
Published Date 2021/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201898
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私は大学院の修士課程(実際は博士前期課程だった)に入学した当初は,実験研究を行なうつもりはなかった。しかし,よいテーマが決まらず煮詰まっていたとき,指導教官の「実験研究とか(してみたら)どう?」という提案に対して,「それならば,こういった研究がしたい」と答えた。ある研究テーマが即座に浮かんできたのである。そこからは水を得た魚のように筆が進み,翌週には何ページにもわたる研究計画の素案を作り上げ,指導教官たちを驚かせた。おそらくそれは,心の中でずっと気になっていた疑問だったのだろう。そのような始まりであった実験研究は奥が深く,丁寧にかかわった分だけ成果が出る。そして,結果は簡潔明瞭で,誰しもに理解されやすい。こうした実験研究に魅力を感じ,修士課程を修了し博士課程に進学しても,私は自分の意志で実験研究を行ない続けた。本稿では,そんな私の実験研究の経験と学びを紹介する。
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