特集 看護研究における報告ガイドライン2
看護研究で念頭に置いておきたい報告ガイドライン30
CONSORT-SPI 2018 Extension [Reporting randomised trials of social and psychological interventions: the CONSORT-SPI 2018 Extension]—社会心理学的介入のランダム化試験の報告:CONSORT-SPI 2018拡張版
大山 裕美子
1
1横浜市立大学医学部看護学科
pp.138-139
発行日 2020年4月15日
Published Date 2020/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201745
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概要
行動社会科学分野においてランダム化比較試験(RCT)は,従来,社会心理学的な介入の評価を行ない,さらに政策決定への根拠をもたらすことをめざして行なわれてきた。社会心理学的な介入は,実践・プログラム・政策といった複合的に相互作用する要素を含むことがあり,また介入やアウトカム評価も個人単位だけではなく,集団・地域単位となることもあるといった複雑さを伴うという特徴がある(Montgomery et al., 2018)。
これらの特徴は,CONSORT 2010声明(以下,CONSORT 2010)が主に想定しているような生物医学分野の介入とは異なる性質をもつため,CONSORT 2010には社会心理学的介入のRCTの報告には該当しない項目も多く,行動社会科学分野の研究者にはあまり使われてこなかった。その結果,社会心理学的介入のRCTの報告には,正確性・完全性・透明性が不十分であるものが散見され,それにより介入の効果を見誤ったり,研究に要した費用が無駄になったりする原因となっていることが懸念されていた(Grant, on behalf of the CONSORT-SPI Group, 2019)。
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