特集 看護研究における報告ガイドライン2
看護研究で念頭に置いておきたい報告ガイドライン30
Reporting of stepped wedge cluster randomised trials: extension of the CONSORT 2010 statement with explanation and elaboration—ステップウェッジクラスターランダム化試験の報告およびその解説と詳細:CONSORT 2010声明の拡張
柏原 康佑
1
,
友滝 愛
2
1東京大学医学部附属病院臨床研究推進センター研究者主導試験推進部門データサイエンス室
2国立看護大学校看護学部人間科学情報学
pp.102-103
発行日 2020年4月15日
Published Date 2020/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201729
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概要
ランダム化比較試験(RCT)には,さまざまなランダム化の方法がある。最も一般的な方法は参加者個人を単位としてランダム化することであるが,ケアや教育に関する介入では病院などの集団(クラスター)単位で割付を行なうことで,より適切な研究を実施できる場合がある。このようにクラスター単位でランダム化を行なう試験を,クラスターランダム化試験と呼ぶ。さらに,倫理的な問題などから非介入群を設定できない,多数の病院で同時に介入を開始することが難しいという場合がある。例えば,新しいケアの効果を研究するにあたって,当該ケアの開発者が複数の病院で研修を行ない,研修を受けた病院から順に新しいケアを実施するような場合である。
このような状況で,図のように介入の開始時期を病院ごとにずらし,介入を段階的に開始し,最終的にはすべての病院で介入を実施するようなデザインを,ステップウェッジクラスターランダム化試験(stepped wedge cluster randomised trial:SW-CRT)という。SW-CRTでは,介入群・非介入群の割付をランダムに行なうのではなく,図のようにどの病院でどのタイミングで介入を始めるかがランダムに決定され,介入前の時期は非介入のデータとして収集される。1つの開始タイミングに複数のクラスターを割り付ける場合もある。
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