特集 看護研究における報告ガイドライン2
看護研究で念頭に置いておきたい報告ガイドライン30
MORECare [Evaluating complex interventions in end of life care: the MORECare statement on good practice generated by a synthesis of transparent expert consultations and systematic reviews]—MORECare声明:終末期ケアの介入研究を計画・実施する際に考慮すべきことのチェックリスト
宮下 光令
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1東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野
pp.136-137
発行日 2020年4月15日
Published Date 2020/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201744
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概要
典型的な臨床試験は,「ある薬剤を投与するか・しないか」という単純な介入である。しかし,終末期ケアにおける介入研究の効果は,治療やケアの担い手である医師や看護師,その他の職種と患者・家族の相互作用によってもたらされることが多い。介入自体をすべての患者に対して一律に行なうことがそもそも困難であり,患者・家族の現在抱えている問題や生活・社会環境などの個別性に配慮する形で,介入は行なわれる。介入は薬剤の単回投与とは違い,患者・家族の反応をみながら,介入内容や方法を最適化していく必要がある。このプロセスの中では,医師や看護師,その他の職種の相互作用や患者・家族やそれを支える人たち・社会との相互作用も生じる。このような介入を複雑介入(Complex Intervention:あるいは複合介入)という。終末期医療に限らず,例えば糖尿病患者に対する行動変容など看護にかかわる研究は,その多くが複雑介入であると考えたほうがよい。MORECare(Methods Of Researching End-of-life Care)声明は,このような複雑介入に関する研究を計画・実施するために考慮すべきことをリストにしたガイドラインであり,終末期ケアにかかわらず,広く看護研究に適用可能なことから,本稿で紹介することになった。
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