増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017
画像所見〔咽喉頭・食道〕
上皮下進展(subepithelial extension)
橋本 林太朗
1
,
平澤 大
1
1仙台厚生病院消化器センター消化器内科
キーワード:
Barrett食道
,
腸上皮化生
,
Barrett食道腺癌
Keyword:
Barrett食道
,
腸上皮化生
,
Barrett食道腺癌
pp.560
発行日 2017年5月24日
Published Date 2017/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403200911
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定義
Barrett食道では,隣接する扁平上皮下に腸上皮化生(subsquamous intestinal metaplasia ; SSIM)の進展がしばしばみられる.その機序は酸などの刺激に対する治癒過程での扁平上皮再上皮化と考えられている.SSIMの内視鏡検査での診断は現時点では生検でのみ可能とされる.欧米ではSSIMはBarrett食道腺癌の発生と関連していると考えられている1).Barrett食道腺癌EMR標本の検討では98%にSSIMがみられた2).
一方,Barrett食道腺癌が扁平上皮と接している場合,正常の扁平上皮下に腺癌が進展していること(Barrett's cancer under the squamous epithelium ; BCUS)がある.このBCUS部では癌が表層に露出していないため,内視鏡検査による範囲診断が困難な場合がある3).Barrett食道腺癌を覆う扁平上皮が薄い場合は,扁平上皮下の腺癌部分が発赤調に透見されたり(Fig. 1),NBI観察で淡い茶色様変化(Fig. 2)を呈したりする場合がある.厚い扁平上皮に覆われると,それらの所見もみられなくなる.
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